永遠なんて知らない

リリカルネッサンス の『The Cut』(Base Ball Bear『The Cut -feat. RHYMESTER-』のカバー)がとても良い。

何が良いって、選曲が素晴らしい。現代人に対する憤りをぶちまけたエッジの効いた歌詞を、まさしく現代人である彼女たちに歌わせることで力強い所信表明として機能させている。『17才』といい、『Funny Bunny』といい、ちゃんと意義があるカバーだと思う。Mummy-D宇多丸のラップパートをlyrical schoolメンバー5人で分担してる分、どうしてもフロウの心地良さは損なわれてしまうのだけど、それを補って余りある瑞々しさ。リリスクmeiちゃんが昔あれした女の子に似ててドキドキする。

リリカルネッサンスは2月11日に行われる一夜限りのコラボライブをもって散開とのこと。活動終了を「散開」と表現したのはYMO以来じゃなかろうか。他にあるのかな。野猿は撤収、LUNA SEAは終幕、仙台貨物は倒産だったね。

 

アイドルの話題をもうひとつ。1月末にMVが公開されたRYUTistの『BLUE』(2ndアルバム『日本海夕日ライン』収録)。

もともとアップされてたライブ動画に、申し訳程度に海の映像をくっつけて音源をそっくり被せるという驚きのクオリティ。「なんかアルバムの中でも人気あるっぽいから急造MVでもこさえるか」感が満載。まぁ良いんだけど、それにしちゃ公開が遅すぎね?っていう。アルバムリリースされたの半年前だぞ。プロモーション下手かよ!と思わず突っ込みたくなる。ある意味インディーズらしくて微笑ましくはあるけどね。

まぁなんだかんだで曲自体は素晴らしい。どことなく10年ぐらい前のロケットマンを思い出すのは俺だけだろうか。だろうな。

Under the PINK

1月は土岐麻子とThe Molochsの新譜をよく聴いていた。

PINK

PINK

 
America's Velvet Glory

America's Velvet Glory

 


特に土岐麻子『PINK』は良かった。ピンクって、カタカナだとポップな印象なのにPINKとアルファベットになると途端にソリッドなイメージになるのは自分だけだろうか。

ほとんどの作曲とアレンジを手掛けたTomi Yoは、最近の槇原敬之の作品にもよく参加していて名前を見かける機会は多かったんだけど、個人的にあんまりピンとくる仕事はなかった。それが今作はどうだ。アレンジもミックスもズバズバと胸を揺さぶる。ジャズの人であり、バンド=生音を主戦場としてきた彼女を、ここまで振り切ったデジタルサウンドで完璧にプロデュースするとは恐れ入った。表題曲『PINK』の2:24以降の転調とか最高すね。

殊更に「シティポップ」というワードで語られる今作は、その点においてもシュガーベイブ吉田美奈子山下達郎あたりの音楽スタイルだけを模倣したような近年のシティポップチルドレンとは一線を画す。ある意味で軽薄というか、土岐麻子の主観が曲想を邪魔しない。これは正しく、ちっぽけな街に生まれ、人混みの中を生きる人々の音楽だと思う。改めてシティポップとはスタイルではなくアティテュードだと思い知らされる。

ところで、土↑岐↓さんって自分の中では「ポップス寄りのジャズボーカリスト」という認識だったんだけど、いつの間に「クイーン・オブ・シティポップ」になったんだろうか。その称号は大貫妙子のものじゃないのか。顔か。顔なのか。じゃあ仕方ねぇな。そういや何年か前に出たター坊のトリビュートアルバムでは『都会』をカバーしてたね。風俗嬢とその客を歌った『PINK』の歌詞は『都会』をベースにしてるのかしら、と思うところもチラホラある。ただ、あのアルバムでは岡村靖幸の『都会』のほうが断然好きだな。

値打ちもない華やかさに包まれて

夜明けまで付き合うと言うの

その日暮らしはやめて

家へ帰ろう 一緒に

この歌詞が岡村ちゃんにピンズドすぎて、なんだか泣けてきちゃったんだよ。

あと、10年近く前に「MUSIC FAIR」で大貫妙子矢野顕子槇原敬之が共演した『海と少年』はすごく印象に残ってる。

最強。このとき初めて動く矢野顕子を目撃して衝撃を受けたなぁ。

大貫妙子一十三十一による『いつも通り』も良かった。一十三十一、当時は媚薬系歌姫なんて呼ばれてたっけ。俺もライブ観に行って可愛らしさにドキュンと胸騒ぎしたもんです。まさか本当に電光石火のベイビーを産んでしまうとは思わなかった。

悲しみに似た薄紅色

グルメブロガーはモテると聞いたので今日からここはグルメブログです。どうぞよろしく。記念すべき第一回目は、静岡県静岡市清水区由比の桜えび料理店・くらさわや。北海道HTBの『おにぎりあたためますか』で大泉洋がこの店のかき揚げを絶賛しており、2011年に放映された『水曜どうでしょう』原付企画においてもどうでしょう軍団が訪れている。『美味しんぼ』にも登場しているらしい。

そんなわけで行ってきた。東海道五十三次の宿場としても知られ、旧街道は今もその趣を残している由比。まぁ趣は良いんだけどよ。くらさわやに続く道が狭いのなんのって。完全に地元民の生活道路。マジでこの先に有名店があるの?ってレベル。辺りも暗くなり、対向車とすれ違えないような細い路地を、神経をすり減らしながらナビを信じて進むこと10分ほど。ようやく到着。以下に渾身のレビューを記す。我ながらめちゃくちゃ参考になるレビューだと思う。いいか。いくぞ。

 

臨時休業があるので出発前にその日の営業を確認しておくべき。

以上。

 

さわやかでハンバーグ食って帰った。

ヴァレンシュタインは三十年戦争の隊長なのさ

寒波吹き荒れる中いかがお過ごしですか。俺は相変わらずいかがわしく過ごしております。なぜか世界史の参考書を買ってきて読み耽り、アナーニ事件とかヌメリアヌスという語句に思わずアンダーラインを引いてしまう今日この頃。

Facebookがつまらない」と知り合いに愚痴をこぼしたら、「それは貴様がプロフィールをデタラメに設定してる所為だ」という有り難いアドバイスを頂戴したので八つ裂きにして駿河湾に沈めた。何にも分かっちゃいない。まっこと。名前や住所に何の意味がある。生まれた所や皮膚や目の色で、一体この俺の何が分かる。健やかなる時も、病める時も、喜びの時も、悲しみの時も、富める時も、貧しい時も、いついかなる時も、俺は俺だ。もっと言えば俺という概念の存在だ。存在の証明に名前は要らぬ。何故なら名前など無くとも存在は成立するからだ。意味が分からない?安心しろ。俺もよく分かっていない。

どうでもいい。「いいね!」なんて要るかボケカスロマック。俺が欲しいのはもっとこう、黒くて硬い、チで始まってコで終わる固形物だ。2月中旬くらいにそれが欲しい。それを貰うためならば俺は喜んで名前や住所を晒そう。そして二人でインカ帝国(首都クスコ)初代皇帝マンコ・カパックについて理解を深めよう。それとも君はデモクリトス派かな?(?_?)

2016年のアルバム9枚

あんまり深く吟味とかせずに、「これよく聴いたな」ってのを9枚ピックアップ。

 

Ed Greene『Greene Machine』

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Ed Motta『Perpetual Gateways』

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Norah Jones『Day Breaks』

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Pet Shop Boys『Super』

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Soulvibe『Bersinar』

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Sung Huh『To Be Sung』

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アイドルネッサンス『アワー・ソングス』

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TAMTAM『NEWPOESY』

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蓮沼執太『メロディーズ』

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ブラジルのAORインドネシアのファンク、韓国のジャズ……2015年末にapple musicを導入したことで世界中の音楽にタイムレスにアクセスできるようになって、まさに蓮沼執太のアルバムジャケット状態の今日この頃。高校を卒業した春休み、初めてTSUTAYAの暖簾をくぐって物量に圧倒された日のことを思い出す。こんなに抜けねぇよ!っていう嬉しい悲鳴。ちなみに2016年で一番お世話になったAVは『友達JK 教え合いっこオナニー1』だったんですけど、残念ながら2013年の作品とのこと。どうでもいい。

某ブログの「ネットの音楽オタクが選んだ2016年のベストアルバム150」にランクインしてるのはNorah Jones(121位)、TAMTAM(95位)、蓮沼執太(22位)の3作品かな。そんなもんか。1位の宇多田ヒカルはぶっちぎりだったらしいね。まぁ納得。『Fantôme』聴いてないけど。それにしても、サブスクリプションサービスが市民権を得た年のベストアルバムが、サブスクリプションサービスに流通していない作品というのも興味深い。

楽曲単位では、Ed Greene『Green Light』、Soulvibe『Tak Bisa Menunggu』、℃-ute『人生はSTEP!』、こぶしファクトリー『チョット愚直に! 猪突猛進』、女王蜂『金星』、METAFIVE『Don't Move』あたりが特に印象に残ってる。

パンクロッカーの憂鬱

年始。元日から車のタイヤがパンクしたので己のカルマを呪いながらスペアタイヤに交換して閉店間際のオートバックスに駆け込んだら「本日のピット作業は終了しました」と言われて俺の頭がパンクするかと思った。あけおめ~。

仕方ないので俺自身の足回りを固めようとスニーカーを二足購入。

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CAMPERのIMARシリーズ、コパ・デル・レイ記念モデル。同型のハイカットのやつを履き潰したので買い替え。これまで街中で一度も見たことない。日本でこれ履いてんの俺だけじゃねぇの。いやマジで。

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スピングルムーヴ。カープとのコラボモデルとも迷ったけど、去年スニーカープ買ったし、てことでシンプルなやつにした。履き心地めちゃくちゃ良い。

あと、ずっと買おうと思ってた珪藻土マットも購入した。ビショビショのバスマットの不快感と、洗って干して何枚もローテーションする煩わしさ、その両方から解放されたので満足。

足元がバッチリ固まったところで、ようやく今日、もっぺんオートバックスに行ったら「こちらのタイヤは取り寄せになりますね」だってよ。取り寄せ。酉年だけに。ことよろ~。

 

さてさて。ベストアルバム2016は、夏頃に知り合いの家で聴いた女性ボーカルのやつです。誰だか聞いたけど忘れた。そもそも2016年にリリースされた作品なのかも分からない。そういう刹那的な聴き方というのも良いんじゃないすかね。一期一会って感じで。ダメですかね。

なんていうか、作品を評するのに、作者の経歴だとか制作に関する苦悩や葛藤を踏まえて、歌詞の一言一言を紐解いて、インタビューを読み漁って、思想や主張を汲み取って、自分なりの解釈を導き出して、みたいな聴き方って、そりゃあ文化的で尊い行為だと思うけど、ぶっちゃけ面倒くさいじゃん?それとも面倒くさいと思わないのがマニアなんすかね。国語の試験じゃねぇんだから、もっといい加減に聴かせてよ、ていう思いが最近は強い。2017年も適当に聴く。俺として俺は行く。俺ら問題ないんだろうな。

Melody never say good bye

10代の頃、千葉のロケ地まで静岡から自転車で行ったことがある程度の原作ファンなのでこれは楽しみ。むせ返るような夏の匂い、何年経っても思い出してしまうな。50分に満たない短編作品をどのように引き伸ばすのか不安もあるけど、そこさえ丁寧に再構築してくれれば傑作になり得ると思う。「ヴェルディvsマリノス」、「『スラムダンク』の最新刊」、「観月ありさ」、「セーラームーン」といったワードは何に置き換わるんだろう。

音楽は神前暁が担当とのこと。ガチで売りに来てる感。REMESIOSも 『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』のサントラが良かったし期待したんだけど、まぁ神前暁に文句があるはずもなく。主題歌はRADWIMPS『前前前世』やback number『ハッピーエンド』に倣って、やっぱり若者に人気のバンドが起用されるのかな。SHISHAMOとかありそうだ。ここはあえてフジファブリック若者のすべて』を、というのは安直すぎるかしら。ないかな。ないよな。


キタノブルーにも引けを取らないイワイブルー。もはや奥菜恵のイメージビデオ。押尾学とのニャンニャン写真が流出したときはそりゃあガッカリしたものだった。下からアレしたり、横からアレしたり、打ち上げまくったんだろうな。まぶた閉じて浮かべているよ。

 

若者のすべて』で思い出した。『若妻の疼き』。正直、本編は全然抜けない。ドラマ部分の健気な大根演技と、本編終了後の3分足らずのインタビューを楽しむ作品。特にインタビューは秀逸。誕生日とかスリーサイズといった「設定」をひととおり言い終えてからのガチ自己紹介に萌える。好きな食べ物。子供の頃になりたかった職業。そして「漫画が好きで、『グラップラー刃牙』とか『ゴルゴ13』をよく読んでます」という予想外のキラーワード。最高に抜ける。彼女にはぜひ『1・2の三四郎』も読んでいただきたい。もう読んでるか。インタビューの〆の言葉が「コンビニ最高だなって思います」というのも空前絶後で素敵だ。