LOVE AFFAIR~秘密のデート~ 後編
うっかりホテルで朝寝坊。昨日が激しかったからね、仕方ないね。
富士市にある富知六所浅間神社へ。立派な御神木やら昨年10月に完成したばかりの真新しい本殿やら、それなりに厳かな雰囲気なんだけど、それを吹っ飛ばす彫刻のクオリティ。
ロダンよ、これが日本の彫刻だ。
お互いの性癖を語りながら東へと車を走らせること一時間。地獄のテーマパークとして知る人ぞ知るB級スポット・伊豆極楽苑に到着。
ロダン館で「地獄の門」を鑑賞した翌日に「地獄めぐり」を体験するという無駄なコンセプチュアルぶり。軽妙な語り口によるレクチャー、館長とその家族たちが作った迫真のジオラマや人形、そして因果論や輪廻転生といった仏教的世界観の「思いの外ちゃんとしてる感」は、外観から漂うB級臭を良い意味で裏切ってくれた。併設されていた秘宝館はショボかったけども。顔ハメ看板でハメ撮りして終了。
近くにあった明徳寺が「下半身とトイレの神様」として有名とのことで、「ちんこが大きくなりますように」「今年はウンコ漏らしませんように」と祈願するため立ち寄ることに。ロマンティックだった昨日とのギャップが凄い。境内にいた猫が可愛かったので、畜生界に転生するのも悪くないなと思った。たぶん自分は大焦熱地獄ってやつに落とされるんだろうけど。でもあれだな。大焦熱地獄の中でも
大身悪吼可畏之処(だいしんあくくかいしょ)
出家はしたがまだ僧にはなっていない女性を犯した者が落ちる。獄卒が毛抜きはさみで、全身の毛を肉もろとも一本ずつ抜いて苦しめる。
これなら耐えられそう。ブラジリアンワックスみたいなもんでしょ。むしろ興奮する。
腹が減ったので、さわやかでハンバーグを食す。平日の3時過ぎにも関わらず15分ほど待たされる人気ぶり。
土産物屋に立ち寄った後、横浜に移動してもう一人の愛人と合流。マリン・ルージュで愛されて大黒埠頭で夢を見てシーガーディアンで酔わされて、とはいかなかったけど、楽しい時間を過ごした。こまたん仕事辞めたら静岡に来れば良いのにな。
二人を送った後、「ラブホに服と下着を忘れた」というLINEが入ったので立ち寄ってサルベージ。相変わらずのドジっ娘ぶり。
そう言われましても。ねぇ。受け取ったブツは紙袋に入っていたのだけど、ちゃんと全部あるのか確認しなくちゃいけないわけで。これはほら。そういうことじゃなくて。仕方なく秘宝館より秘宝が詰まった中身を確認。明徳寺での祈願の片方が叶い、ギリシア彫刻が近代彫刻へと進化して御神木が姿を表したその瞬間、どこからか地獄の門が開く音が聞こえた。
LOVE AFFAIR~秘密のデート~ 前編
一泊二日でデートしてきた。最大の目的は楽天vs広島のオープン戦@静岡。「平日昼間から女の子と一緒に野球観戦」というパワーワードに震えながら待ち合わせ。
画像はイメージです。
結果は0-2の完封負け。WBC組が不在&楽天先発が岸だったとはいえ、このスコアは予想してなかった。見所が少な杉内。隣人は人生初の野球観戦だったのに屋台で箸を貰い忘れたせいで1点目を見逃し、やっと入った追加点(楽天のだけど)もスクイズという地味っぷりに「うーんこの」状態。こんなはずでは……。最終回のチャンスに代打・石原は申し訳ないけど笑ってしまった。新井さんが見たかったなぁ。
野球観戦後は、静岡県立美術館でロダンの彫刻を鑑賞。とても力強いなぁと思いました(小並感)。「カレーの市民」は二次会に行こうとするサラリーマン連中っぽかった。しかし、ギリシア彫刻だと男性器は包茎なのに、近代彫刻だとズルムケになるのって、なんか包茎が時代遅れみたいで神妙な気持ちになりませんか。なりませんね。誰もいないラウンジでリピート再生されていたロダン体操がシュールすぎた。
三保の松原で海と工場夜景を眺めた後は、小洒落たスペイン料理店でディナー。こうして書くとめちゃくちゃロマンティックだな。「今年まだウンコ漏らしてない」とか「ブラジリアンワックスに行って勃起しちゃった」とか、そういう話しかしてないけど。
あいにくレストランに併設されているホテルが休業中(というか廃業に近いらしい)だったので、仕方なくたまたま近くにあったラブホで一泊。いやー、たまたま近くにラブホがあるとは思わなかったなー。
続く。
たくさんの人達が聴いてる音楽には、それはそれで何かやっぱり理由があるとは思うけど、星野源の横に並んで売ってたら、とてもめんどくさいけど僕はマッキーを選ぶだろう。
『運命の人』が抜群に良い。往年の『80Km/hの気持ち』や『彼女の恋人』を彷彿とさせるセツナ系。僕は君のことが好きで、でも君はあいつのことが好きで、という槇原印のラブソングにおける黄金律。こういうの歌わせたら今でも当代随一だよなぁ。
ただ、何よりも切ないのは
「あいつのことが好きな君のことを嫌いになれずにダラダラと想い続けてしまう僕」
が、そっくりそのまま
「『太陽』以降、ラブソングよりライフソングを主として歌うようになった槇原のことを嫌いになれずに惰性で聴き続けてしまう僕ら」
に置き換えてしまえること。これはちょっと切なすぎる。往年の黄金律なだけに、『運命の人』が良い曲だと思えば思うほど、すなわち今現在の失恋をクッキリと浮き彫りにしてしまう。まさに身がよじれる想い。勝手に「僕ら」と書いてしまったけど、結構こういう人は多いんじゃないだろうか。
移ろう季節の中で
僕は移ろわない気持ち 持て余している
ハシカみたいな恋だったと
笑える時が来るのかな
それともこのまま
一人で君を想いながら
年を取っていくのかな
このフレーズが当て嵌まりすぎてもうね。
もちろん『太陽』以降でも好きな曲はたくさんある。『桃』は全キャリアの中でもトップクラスに好きな曲だし、『lose no time』のフィルターディスコ感も大好物。近年だと『Fall』も良かった。でも『Cicada』以前は全部の曲が抱き締めたくなるほど大好きだったんだよ。何を隠そうファンクラブにも入っていたし、初めて行ったコンサートもマッキーだった。学生時代の友人だったら俺がどれほどマッキーを敬愛していたか知っているはず。このまま一人であの頃の槇原を期待しながら年を取っていくのかな。
そりゃあテネリフェからすれば
- 以前からリーガ・エスパニョーラでのプレーを希望しており
- レアル・マドリー相手に公式戦で2得点して
- 同じカナリア諸島に本拠地を置くラス・パルマス(一部所属)が獲得候補に挙げ
- 上記クラブは監督の意向で契約には至らなかったものの本人は移籍に前向きで
- ユニフォーム売上や放映権による収入も見込める選手
が手を伸ばせば獲れる状況だったんだから、契約しないわけがないんだよね。たぶんスカウティングなんてロクにしてなかったんじゃないかな。こいつ獲れるの!?ラッキー!!みたいな勢いだったんだと思う。それが蓋を開けてみたらスペイン語はおろか英語すらまともに喋れないなんて、狐につままれたような気分じゃなかろうか。サッカーの実力とか以前の問題。ハノーヴァー朝かよ。
「気候や食事への適応に苦労している」という報道を多く目にするけど、日本のメディアは語学力の低さが彼自身を追い詰めていることをハッキリと報じるべきだと思う。「俺はサッカーさえ上手ければ良いんだ」と思ってしまいがちな中高生を啓蒙していかなければ日本人選手の地位が向上していかないのでは。
Elephant Ghost
相変わらずムダ毛処理がマイブームであります。下半身の毛という毛を抜き尽くし、昨晩はとうとう鼻毛を抜いてやりましたゾ。毛抜きでブチブチ。ぶぇっくし。ブチブチ。……抜いても抜いても終わらない。oh what a night。マジ無尽蔵。全盛期のエッシェンかってくらい無尽蔵。なので一晩中ヌキヌキ。oh wonderful night。気付けば朝。鼻毛は、まだそこにあった。ジョンジーはそれを見ながら横になっていた。最後の一本となった鼻毛が力強く残っていることに彼女は感銘を受け、生きる気力を取り戻した。めでたしめでたし。
そんな甲斐あって無事に風邪を引いた。起きた瞬間に確信した。体のバランス。関節の痛みと悪寒。喉のイガイガ。ピシャリだ。治る気がしねぇ。なぜ俺はあんなムダな時間を……。
どうでもいい。問題は俺の風邪。薬がない。行かなくちゃ。君に会いに行かなくちゃ。というわけで本屋に活路を求めた。東洋医学。西洋医学。カーマ・スートラ。あらゆる学術書を片っ端から立ち読みすること数時間。そして導き出された結論。よく食べて、よく寝る。結局のところ、それが一番じゃないっすかね。
納得のいく回答を得たので帰ろうとした俺の眼球に、受験生と思しき女子高生の姿がフェードイン。すかさずロックオン。今夜はビートイット。参考書をパラパラめくる彼女の真剣な眼差しが、ほんの一瞬、こちらへ向けられる。その一瞥に在りし日の記憶がフラッシュバック。浮かんで走ったあの日の影。
あれはそう。およそ四半世紀前の出来事。某私立小学校の入学試験。「象さんの絵を描いてください」と言われた少年は、ひたすら象の右前脚を描き続けた。他の子供たちが象さんの大きな鼻をメインに据えて全体像を描いていく中、唯一人、象の右前脚だけをピンポイントに描いた。象の右前脚こそをディテールに拘って見事に描ききった。そして落ちた。俺だけがピンポイントで落ちた。俺こそが見事に落ちきった。早すぎたダダイスム。悲しきエレファントマン。異質なものを受け入れる事ができない現代社会の闇で、今日も俺は叫び続ける。I am not an animal! I am a human being!
俺と同じ思いをして欲しくない。させてはいけない。その一心で女子高生に無言のエールを送る。頑張れ受験生。しかしあれだな。よく見りゃ可愛い顔してんな。脚もスラッとしてなかなか。ほほう。これは……
四半世紀の時を越え、象さんの大きな鼻がその姿を表した。I am an animal.Rits any more.
魔法がないと
仕事から帰っても暇なのでムダ毛処理ばかりしている。ピンセットで一本一本丁寧に抜いている間だけは素直な自分に戻れる気がするんだよ。お陰様で下半身がツルツルになりましたのでご査収ください。
布団の中で脚をこすりあわせると女の子と絡み合ってるように感じられて幸せ。まるで魔法のよう。くだらない中に愛があるんだね。
ベイカー兄弟がいなくなったことでお馴染みのベイカー・ブラザーズ。「日本でもっとも売れているジャズ・ファンク・バンド」なのか。ふーん。いや自分も好きだけど。ポップでキャッチーだし。ただ、あんまりジャズとして聴いたことはない気がするな。クラブミュージックちゃうのん。まぁカテゴライズとかファッキンどうでもいいすね。
アカンサ・ラングをボーカリストとしてフィーチャーした楽曲が多い中、ボーカルレスの『Back In The Game』が特に良かった。ちょっとSANABAGUN.の『人間』っぽくない?
「イスラエル・ジャズ・シーンを牽引する人気ピアニスト、シャイ・マエストロが放つ陶酔と覚醒のニュー・アルバム!!」とのこと。うーん。こういうアンビエントとかダブの要素の入ったポストジャズっぽい雰囲気は肌に合わないなぁ。語弊を恐れずに言えば、精神的なジャズもあまり好きじゃない。コルトレーンとかも苦手だったりする。
- アーティスト: Cannonball Adderley / Bill Evans
- 出版社/メーカー: Ojc
- 発売日: 1987/01/06
- メディア: CD
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陽気なキャノンボール・アダレイと繊細なビル・エバンスの共演。お互いが歩み寄るように演奏していて、人によっては自己主張が控えめで余所行きなアルバムと受け取るかも知れないね。個人的には端正でチャーミングという印象のほうが強い。
何と言っても冒頭を飾る『Waltz for Debby』の素晴らしさよ。オリジナルの奥ゆかしくも静かに燃え上がる音色も素敵だけど、そもそもビル・エバンスが彼自身の姪のために作った曲なわけで、アルトサックスが伸びやかに響くこちらのバージョンのほうが本懐に近いんじゃないかしら。
架空の都市「レトロフエゴ公国」で開かれる博覧会を舞台に、怪盗になったYMCKと、2ndアルバム『ファミリーレーシング』にも登場した宿敵「スウィンガーズ」が繰り広げる怪盗劇が、まるでミュージカルのように曲順に沿って進んで行く、という作品です。
すごく良かった。4thアルバム『ファミリージェネシス』あたりまでの、中でも『カモン! スウィングオールスターズ』や『Major Swing』といったスウィング感の強い楽曲が好きな自分としては「こんなYMCKを待っていた!」と拍手を送りたくなる作品。
30秒あまりのインストナンバー『レトロフエゴ公国国歌』を駆け抜けて、いよいよ聴こえてくるMidoriの第一声
あぁこの世に散らばる
キラキラと輝く宝石
その全てが欲しいの
ひとつとて残さず
という不敵っぷりにいきなり心を奪われてしまう。まさに「怪盗YMCKはとんでもないものを盗んでいきました」ってもんです。最高。
永遠なんて知らない
リリカルネッサンス の『The Cut』(Base Ball Bear『The Cut -feat. RHYMESTER-』のカバー)がとても良い。
何が良いって、選曲が素晴らしい。現代人に対する憤りをぶちまけたエッジの効いた歌詞を、まさしく現代人である彼女たちに歌わせることで力強い所信表明として機能させている。『17才』といい、『Funny Bunny』といい、ちゃんと意義があるカバーだと思う。Mummy-Dと宇多丸のラップパートをlyrical schoolメンバー5人で分担してる分、どうしてもフロウの心地良さは損なわれてしまうのだけど、それを補って余りある瑞々しさ。リリスクmeiちゃんが昔あれした女の子に似ててドキドキする。
リリカルネッサンスは2月11日に行われる一夜限りのコラボライブをもって散開とのこと。活動終了を「散開」と表現したのはYMO以来じゃなかろうか。他にあるのかな。野猿は撤収、LUNA SEAは終幕、仙台貨物は倒産だったね。
アイドルの話題をもうひとつ。1月末にMVが公開されたRYUTistの『BLUE』(2ndアルバム『日本海夕日ライン』収録)。
もともとアップされてたライブ動画に、申し訳程度に海の映像をくっつけて音源をそっくり被せるという驚きのクオリティ。「なんかアルバムの中でも人気あるっぽいから急造MVでもこさえるか」感が満載。まぁ良いんだけど、それにしちゃ公開が遅すぎね?っていう。アルバムリリースされたの半年前だぞ。プロモーション下手かよ!と思わず突っ込みたくなる。ある意味インディーズらしくて微笑ましくはあるけどね。
まぁなんだかんだで曲自体は素晴らしい。どことなく10年ぐらい前のロケットマンを思い出すのは俺だけだろうか。だろうな。
Under the PINK
1月は土岐麻子とThe Molochsの新譜をよく聴いていた。
特に土岐麻子『PINK』は良かった。ピンクって、カタカナだとポップな印象なのにPINKとアルファベットになると途端にソリッドなイメージになるのは自分だけだろうか。
ほとんどの作曲とアレンジを手掛けたTomi Yoは、最近の槇原敬之の作品にもよく参加していて名前を見かける機会は多かったんだけど、個人的にあんまりピンとくる仕事はなかった。それが今作はどうだ。アレンジもミックスもズバズバと胸を揺さぶる。ジャズの人であり、バンド=生音を主戦場としてきた彼女を、ここまで振り切ったデジタルサウンドで完璧にプロデュースするとは恐れ入った。表題曲『PINK』の2:24以降の転調とか最高すね。
殊更に「シティポップ」というワードで語られる今作は、その点においてもシュガーベイブ、吉田美奈子、山下達郎あたりの音楽スタイルだけを模倣したような近年のシティポップチルドレンとは一線を画す。ある意味で軽薄というか、土岐麻子の主観が曲想を邪魔しない。これは正しく、ちっぽけな街に生まれ、人混みの中を生きる人々の音楽だと思う。改めてシティポップとはスタイルではなくアティテュードだと思い知らされる。
ところで、土↑岐↓さんって自分の中では「ポップス寄りのジャズボーカリスト」という認識だったんだけど、いつの間に「クイーン・オブ・シティポップ」になったんだろうか。その称号は大貫妙子のものじゃないのか。顔か。顔なのか。じゃあ仕方ねぇな。そういや何年か前に出たター坊のトリビュートアルバムでは『都会』をカバーしてたね。風俗嬢とその客を歌った『PINK』の歌詞は『都会』をベースにしてるのかしら、と思うところもチラホラある。ただ、あのアルバムでは岡村靖幸の『都会』のほうが断然好きだな。
値打ちもない華やかさに包まれて
夜明けまで付き合うと言うの
その日暮らしはやめて
家へ帰ろう 一緒に
この歌詞が岡村ちゃんにピンズドすぎて、なんだか泣けてきちゃったんだよ。
あと、10年近く前に「MUSIC FAIR」で大貫妙子と矢野顕子と槇原敬之が共演した『海と少年』はすごく印象に残ってる。
最強。このとき初めて動く矢野顕子を目撃して衝撃を受けたなぁ。
大貫妙子と一十三十一による『いつも通り』も良かった。一十三十一、当時は媚薬系歌姫なんて呼ばれてたっけ。俺もライブ観に行って可愛らしさにドキュンと胸騒ぎしたもんです。まさか本当に電光石火のベイビーを産んでしまうとは思わなかった。