森は生きている/森は生きている

ドラマ「ラブジェネレーション」放映当時、僕は小学6年生だった。ドラマの内容はほとんど覚えてないけど、唯一、強烈に印象に残ったものがある。多幸感に満ちたストリングス、オルガンとピアノの小粋なメドレー、高揚感を煽るエレキギター、そして甘い歌声。

 


幸せな結末-大滝詠一 - YouTube

 

それまでオリコンチャートでは見かけたことがない名前にときめき、母親に「この人は誰なんだ」と尋ねたのを今でも覚えている。「山下達郎と仲が良い変な人」という要領を得ない返答(今にして思うとめちゃくちゃ要領を得てるんだけど)に釈然とせず、自分なりに色々と調べていくうちに、ようやく彼が「はっぴいえんど」というバンドのメンバーであったことを知ったんだった。中学・高校時代の僕が、リアルタイムで流行っていた音楽に関心を寄せず、過去の音楽に偏執していたのは「幸せな結末」との出逢いによるところが大きい。まさにHappy Endで始めよう。笑。

 

あれから16年。森は生きている、というバンドが、1stアルバム「森は生きている」をリリースした。リアルタイムで流行っている音楽に関心を寄せず、過去の音楽に偏執している連中が作った音楽。

 

森は生きている

森は生きている


森は生きている -日々の泡沫 - YouTube

 

ただただ素晴らしくて、ひたすら聴いている。音の隙間を大事にしたソングライティング、純日本文学的歌詞、主張しすぎない控えめなボーカル……日本人がロックをやるってのはこういうことだよ!と思わずにいられない。森(ラテン語で「死」を意味する)は生きている、というバンド名の通り、偉大な先人たちのDNAは脈々と受け継がれ、こうして記憶と時間の交差点を謳歌している。

 

薄曇りを 風が運んで

街が空を飛ぶ 光と

走り出す少女の影は夢の中を生きているみたいです

走り出す記憶と時計の針は遊ぶ

 

「昼下がりの夢」