TRIBUTE TO TRICERATOPS

 TRIBUTE TO TRICERATOPS

トライセラって「演奏はガチだしメロディーも良いけど、歌詞が軟派で甘ったるくてちょっとね」みたいなこと言われがちだと思うんすよ。陽キャ全開というか。彼らがデビューした頃からネットに入り浸ってるような人って、どう考えても隠キャ寄りじゃん。どちらかと言えばGRAPEVINEとかthe pillowsにシンパシー感じちゃう側じゃん。だからネット界隈ではいまいち過小評価されてきた気がするんだよね。「リア充爆発しろ」精神の被害者。まあライブさえ見れば俺みたいに一発でファンになっちゃうんだけども。

そこで今回のトリビュートアルバム。寄せ集めだからこそ和田唱のピースな愛のバイブスでポジティブな感じが薄れていて、隠キャにもちょうどいい塩梅なんじゃないかな。楽曲の良さはブレることなく、どの曲もそれぞれの色に染まっていて楽しいアルバムだと思う。スキマスイッチ、ラブサイケデリコ、山崎まさよし、CHABOあたりは完全に持ち歌みたいな雰囲気だし、奥田民生GRAPEVINEBase Ball Bearのリスペクト溢れるカバーもスッと胸に馴染む。変化球枠としてはKANよりもUNISON SQUARE GARDENのほうが個人的には好みだったかな。なんだかんだやっぱりKANはピアノアレンジでやって欲しかった気持ちが強い。『Superfaker』みたいなピアノロック風『Silly Scandals』とか聴いてみたかったわ。で、歌声一発ですべてを支配してしまう小田和正に関してはもう「ズルい」としか言いようがない。


こんなん反則やんけ。それこそ小田和正(というかオフコース)も元祖「演奏はガチだしメロディーも良いけど、歌詞が軟派で甘ったるくてちょっとね」の人じゃないすか。タモリに嫌われてたり、山下達郎と比べてなんとなく音楽マニアたちから評価されてない気がするのは俺だけじゃないはず。歌声やアレンジの素晴らしさはもちろん、それ以上のカタルシスがあって、そしてそれがこの組み合わせによってのものならば素敵だね。