どうしても叫びたくて

ーの使い方がイマイチ分からない。あのほら、長音を表すー。長音符っていうのか。なんとなく今までフワッと使ってきたけど、正直、ずっとモヤモヤしてた。

いや、さすがにラーメンとかユーチューブは分かるよ。口に出して発音するときラメンとかユチュブとは言わないもの。ビートルズローリングストーンズ。大丈夫。

じゃあキャンディー。これはもう途端に怪しくなってくる。たしかに口にする際はdiの音で止めない。そのまま伸ばす。でも長音符を付けないキャンディって表記の方が多く見かけないか。あの漫画も『キャンディ・キャンディ』であって『キャンディー・キャンディー』ではないのだ。実際は誰もがキャンディー・キャンディーと発音しているにもかかわらず。シティポップのことを律儀にシティーポップと書く人も少ない。「ィ」に音を伸ばす働きなんてないはずなのに、メロディ、スパゲッティ、パーティ、どれもこれも世の中に浸透した表記になっている。

そもそも外来語をカタカナ表記する時点で多少の綻びは致し方ないのだけど、アイデンティティに至っては何が何だか分からない。リピートアフターミー。アイデンティティ。はい。どうですか。最初の「ティ」と二度目の「ティ」は全く同じでしたか。違いますね。明らかに違う発音をしておきながら、アイデンティティという表記には違和感を抱かないまま今日まで過ごしてしまった。どうして時が経って僕は気付いたんだろう。いや、昔から心の奥底に違和感はあったのかも知れないな。見て見ぬフリして、臭いものに蓋をして生きてきたのかも知れない。 

どうしよう。アイデンティティが崩壊しそうだ。