私的90年代フェイバリット
ネットの音楽オタクたちの間で90年代のフェイバリットアルバムを公開するのが流行っていて、普段こういう企画には乗らない性質なんだけど、なんとなく気が向いたので選んでみようかと。
で、せっかくなら後追いで2000年以降に聴いた作品は除外しよう、俺自身が本当に1990-1999年の間に聴いていた作品を選ぼう、と思ったわけ。そのほうが当時の空気感とか等身大の俺みたいなもんがガツンと高純度で出そうじゃんか。つーことで記憶を手繰って、印象に残ってる作品を3枚ほど選んでみたんだけどよ。
山口百恵『伝説から神話へ -BUDOKAN…AT LAST-』
YMO『SOLID STATE SURVIVOR』
オフコース『ツインベスト』
あれ?っていう。
よくよく考えてみたら、荒井由実、矢野顕子、かぐや姫、矢沢永吉、鈴木雅之、井上陽水、安全地帯、ゴダイゴ、吉田拓郎、坂本龍一、山下達郎……その辺の70-80年代の旧譜を後追いしてたのが俺にとっての90年代だった。
2003年くらいまでロックバンドを毛嫌いしてたのでヴィジュアル系やロキノン勢はもちろん、B'zミスチルスピッツサザンと言ったメガヒットバンドもスルーしてた。小室ファミリーより坂本ファミリーだったし、モー娘。はアイドルとして認めずに百恵ちゃん聖子ちゃん明菜ちゃん(せいぜいWinkまで)を崇めてた。宇多田ヒカルと椎名林檎も当時はよく分かんなかったな。とにかく「流行りもんなんてロクなもんじゃねぇ!」っていう老害みたいなガキだった。
リアルタイムで聴いてた90年代の作品って、エキセントリック少年ボウイオールスターズ『ダウンタウンのごっつえぇ感じ音楽全集』、山下達郎『COZY』、槇原敬之『 Such a Lovely Place』『Listen To The Music』『Cicada』くらいしか思い浮かばないな。そもそも達郎と槇原にハマったから前述の70-80年代に先祖返りしたっていう順序なんだけどね。
てことで私的90年代フェイバリット・ワンはこれ。初めて自分の小遣いで買ったアルバム(ちなみに初めて買ったシングルは大滝詠一『幸せな結末』なのだ!どうだ羨ましいだろう!)。当時の自分にこの作品の良さが理解できていたとは到底思えないのだけど、背伸びしてる感じがしてドキドキしたのは覚えてる。達郎の『ドーナツ・ソング』とマッキー『君は僕の宝物』のせいで、「女の子とドーナツ屋に行く」という行為にめちゃくちゃ憧れたなぁ。そうそう、『氷のマニキュア』がKinKi Kidsの『kissから始まるミステリー』に似ている!ということに気が付いて、いわゆる作家性みたいなものを意識し始めたのもこの頃だった。
このアルバムを引っ提げて行われたコンサートツアーPerformance 1998-1999のブートレグも最高。色んなコンサートからテイクを寄せ集めた『JOY』よりも熱量がダイレクトに伝わってくる気がするな。
ありとあらゆるライブ音源の中でもトップクラス。東京オリンピックの開会式で達郎がカッティングギター鳴らしながら出てきたら号泣しながらうんこ漏らす自信ある。