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頂-ITADAKI-2016 1日目

静岡県で開催された頂-ITADAKI-2016というフェスに行ってきた。個人的には2009以来、2度目となる頂。吉田公園なんていう静岡県民ですら「どこそれ」レベルの辺境で曲がりなりにも毎年やってるだけあって、前回と比べると規模も出演者も格段にスケールアップしていて、ホスピタリティに関してもストレスフリーでした。

 

1日目

同行者が遅刻。俺のための東京土産を自宅に置き忘れて出掛けてしまった、という絵に描いたようなドジっ娘ぶりに全てを許してしまう。会場までの道中、「橋本環奈と一週間ヤれる権利と1000万円、どちらを取るか?」という命題について喧々諤々と語り合う。実際にはどちらも得られない。切ない。 

 

■Awesome City Club

彩り鮮やかなポップネスとシティ感。どう考えたって田舎の真っ昼間の野外ステージが似合わない人たちなんだけど、問答無用でアガらせる演奏と楽曲のタフネスがきちんと備わっていて、さすがの一言。PAの調子が悪かったのか、特にギターの音量が安定しなかったのが可哀想でした。

 

Shing02 with Live Band

ヒップホップ門外漢の自分にもハッキリと分かるカッコよさ。圧巻。会場内の全ての電力をバイオディーゼル発電で賄う等、エコロジーを訴えるフェスだけあって彼が出演すること自体にも大きな意味があったように思える。

 

サンボマスター

いつかのロックインジャパンで見て以来かな。もう調べるのも億劫になるくらい前のことだけど、そのときと何も変ってなくて安心する。その安定度ゆえに、過去のフェスでは同時間帯の他の出演者を優先してしまうことが多々あったこと、「ロックアンセムと言えば『世界はそれを愛と呼ぶんだぜ』世代」として猛省する次第であります。

 

昼飯。チャパティロール。イマイチ。

その後、会場周辺を散策。アジカンの出演時間が迫る中、なぜか近隣の温泉施設でヨガ教室75分1000円を申し込む。たしかに安い。土曜日は先生が不在とのことでヨガは体験できなかったものの、もはやアジカンを観る心意気は完全に消失。マッサージチェアに座ったり、図書室でマンガをめくったり、将棋崩しに興じたり、うっかり2時間ほど滞在してしまった。いやぁ、うっかりうっかり。

会場に戻るとハンバート・ハンバートが『さよなら人類』を歌っていた。サビのメロディがホルストの『木星』だと気付いたときはハッとしたなぁ。

 

cero

それはそれは素晴らしかった。魔法的。

以前、アジカン後藤正文は自身のブログでceroについてこう語っている。

とても豊かな音楽だと思ったの。それはもう悔しいくらい。HIP HOPもポップスも、ポエトリーリーディングも、サンプリングやカットアップやコラージュとか、あるいは文学も、いろいろな要素が混ざっているんだけれど(俺が感じ得ない何かも)、その編み方が素晴らしいと思った。すごい!って思ったんだよ。俺はレコメンド記事で心が折れかけるほど衝撃を受けたことを告白してる。彼らが(俺の想像では)知的なライブラリに接続する機会を持っていただろうこと、そして、それを土台に創作されたアウトプットが素晴らしいこと(これは彼らの技術だ)、それに感動したんだよね、素直に。

で、これは、凄い時代が来るんだなって思った。全部混ざると。そういう人たちが出てきたと。あー、ゼロ年代は終わるわーって思ったの。俺たちは過去の世代にされちゃうなって。笑。一点突破ではなくて、なんていうんだろう、編む力っていうのかな、もう何もかも出尽くしたなんて言われる時代でも、こうやって新しい組み合わせと感性、そしてイマジネーションで面白い音楽を作るひとたちがいるっていうこと。そしてもう、デジタルネイティブって人たちがどんどん出てくるわけじゃない。誰しもがceroのように表現できるわけではないけれど、最早俺が持っていたような「蚊帳の外」というようなコンプレックスは持たなくていい時代になったわけだよね。

めちゃくちゃ分かるんだよなぁ、この感覚。ゴッチと同じ静岡の田舎で育ち、やはり同じように豊富な知的ライブラリに囲まれていなかった自分は、ある種のルサンチマンに似たような感情をcero(とそのファンたち)に対して抱いていて、それは結局のところ「どれだけ彼らのことを好きになっても、自分には彼らの本質を理解できないのではないか」という不安感に起因しているんだと思う。まさに

「蚊帳の外」というようなコンプレックス

そのものだ。

この晩、コンプレックスが完全に解消されたわけではないけど、俺のような冴えないクラスメート(高城晶平とは同学年だったりする)も逃避行のパートナーになれることを強く感じたよ。『Orphans』演ってないけど。笑。

それと同時に、色んな人が色んな音楽を鳴らすフェスの終盤に彼らが出てきて歌う、その光景にこの国のポップス史が重なって胸が一杯になった。3年くらい前、mixiで数十組の若手ミュージシャンを紹介する日記を書いたとき、一番最後にceroを紹介した自分自身に拍手を送りたい。

 

静岡のソウルフードである某炭焼きレストランで夕食を摂り、同行者をホテルへ送って帰宅。一緒にホテルに行って違法ではないが不適切な行為をしたかったけど我慢。この日の自分自身にも拍手を送りたい。