bamboo boat/camera-stylo
- アーティスト: camera-stylo(カメラ=万年筆)
- 出版社/メーカー: Pヴァイン・レコード
- 発売日: 2013/08/21
- メディア: CD
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最近の若手インディーは、camera-stylo(アレクサンドル・アストリュック)といい、森は生きている(サムイル・マルシャーク、藤子F不二雄)といい、バンド名の時点でセンスありすぎだろ!ってのが多くて嬉しいね。いやスネオヘアーとかサンボマスターとかアジアンカンフージェネレーションも好きだけどね。
彼らのことを知ったのは何を隠そう今年に入ってからのことなので、にわかファンもいいところなんだけど、いや素晴らしいねこれは。変幻自在のメロディとアレンジ。なのにちっとも押し付けがましくなくて、すっと耳に馴染む。「なっちゃん」における清涼感に満ちたフルートの音色を聴いてるだけでも十分すぎるほど楽しめるし、「不純異星間交遊」の心躍る鍵盤やカッティングギターも同様。このインテリでオーヴァープロデュースな感じは個人的にかなり好みだなぁ。ていうか本作に参加してる二人のギタリストのうち一人は森達哉っていう名前なのか。これはこれは。笑。
歌詞に目を向ければ、繰り返される「ここではないどこか」へのインヴィテーションに浮き足立たずにはいられない。
あてのない旅立ちみたいな気分さ
「なっちゃん」
とりえのない国から船を出すのさ
「bamboo boat」
怪物たちへ会いにいこう
「高卒」
異次元列車に飛び乗って
「不純異星間交遊」
多彩なアレンジと相まって、 まさしく竹のボートで世界のあちこちを漂流してるような気持ちにさせてくれる。かつて七尾旅人は「ライブハウスの天井に満天の星空を、野外フェスティバル会場に一人暮らしのアパートを描くのが僕らの仕事だ」と言っていた。全くもってそのとおり。それこそが芸術の根幹。まぁ彼はたまに失敗して目も当てられない惨状を招くこともあるけどね。笑。そこに存在しないはずのものに思いを向けさせる、という点において、カメラ=万年筆=音楽という等式が成り立つのを今作は証明してみせた。