Elephant Ghost

相変わらずムダ毛処理がマイブームであります。下半身の毛という毛を抜き尽くし、昨晩はとうとう鼻毛を抜いてやりましたゾ。毛抜きでブチブチ。ぶぇっくし。ブチブチ。……抜いても抜いても終わらない。oh what a night。マジ無尽蔵。全盛期のエッシェンかってくらい無尽蔵。なので一晩中ヌキヌキ。oh wonderful night。気付けば朝。鼻毛は、まだそこにあった。ジョンジーはそれを見ながら横になっていた。最後の一本となった鼻毛が力強く残っていることに彼女は感銘を受け、生きる気力を取り戻した。めでたしめでたし。

 

そんな甲斐あって無事に風邪を引いた。起きた瞬間に確信した。体のバランス。関節の痛みと悪寒。喉のイガイガ。ピシャリだ。治る気がしねぇ。なぜ俺はあんなムダな時間を……。

どうでもいい。問題は俺の風邪。薬がない。行かなくちゃ。君に会いに行かなくちゃ。というわけで本屋に活路を求めた。東洋医学。西洋医学。カーマ・スートラ。あらゆる学術書を片っ端から立ち読みすること数時間。そして導き出された結論。よく食べて、よく寝る。結局のところ、それが一番じゃないっすかね。

納得のいく回答を得たので帰ろうとした俺の眼球に、受験生と思しき女子高生の姿がフェードイン。すかさずロックオン。今夜はビートイット。参考書をパラパラめくる彼女の真剣な眼差しが、ほんの一瞬、こちらへ向けられる。その一瞥に在りし日の記憶がフラッシュバック。浮かんで走ったあの日の影。

あれはそう。およそ四半世紀前の出来事。某私立小学校の入学試験。「象さんの絵を描いてください」と言われた少年は、ひたすら象の右前脚を描き続けた。他の子供たちが象さんの大きな鼻をメインに据えて全体像を描いていく中、唯一人、象の右前脚だけをピンポイントに描いた。象の右前脚こそをディテールに拘って見事に描ききった。そして落ちた。俺だけがピンポイントで落ちた。俺こそが見事に落ちきった。早すぎたダダイスム。悲しきエレファントマン。異質なものを受け入れる事ができない現代社会の闇で、今日も俺は叫び続ける。I am not an animal! I am a human being!

俺と同じ思いをして欲しくない。させてはいけない。その一心で女子高生に無言のエールを送る。頑張れ受験生。しかしあれだな。よく見りゃ可愛い顔してんな。脚もスラッとしてなかなか。ほほう。これは……

 

四半世紀の時を越え、象さんの大きな鼻がその姿を表した。I am an animal.Rits any more.

魔法がないと

仕事から帰っても暇なのでムダ毛処理ばかりしている。ピンセットで一本一本丁寧に抜いている間だけは素直な自分に戻れる気がするんだよ。お陰様で下半身がツルツルになりましたのでご査収ください。

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布団の中で脚をこすりあわせると女の子と絡み合ってるように感じられて幸せ。まるで魔法のよう。くだらない中に愛があるんだね。

 

ハイ・レズ

ハイ・レズ

 

ベイカー兄弟がいなくなったことでお馴染みのベイカー・ブラザーズ。「日本でもっとも売れているジャズ・ファンク・バンド」なのか。ふーん。いや自分も好きだけど。ポップでキャッチーだし。ただ、あんまりジャズとして聴いたことはない気がするな。クラブミュージックちゃうのん。まぁカテゴライズとかファッキンどうでもいいすね。

アカンサ・ラングをボーカリストとしてフィーチャーした楽曲が多い中、ボーカルレスの『Back In The Game』が特に良かった。ちょっとSANABAGUN.の『人間』っぽくない?

 

The Stone Skipper

The Stone Skipper

 

イスラエル・ジャズ・シーンを牽引する人気ピアニスト、シャイ・マエストロが放つ陶酔と覚醒のニュー・アルバム!!」とのこと。うーん。こういうアンビエントとかダブの要素の入ったポストジャズっぽい雰囲気は肌に合わないなぁ。語弊を恐れずに言えば、精神的なジャズもあまり好きじゃない。コルトレーンとかも苦手だったりする。

 

Know What I Mean

Know What I Mean

 

陽気なキャノンボール・アダレイと繊細なビル・エバンスの共演。お互いが歩み寄るように演奏していて、人によっては自己主張が控えめで余所行きなアルバムと受け取るかも知れないね。個人的には端正でチャーミングという印象のほうが強い。

何と言っても冒頭を飾る『Waltz for Debby』の素晴らしさよ。オリジナルの奥ゆかしくも静かに燃え上がる音色も素敵だけど、そもそもビル・エバンスが彼自身の姪のために作った曲なわけで、アルトサックスが伸びやかに響くこちらのバージョンのほうが本懐に近いんじゃないかしら。

 

FAMILY SWING

FAMILY SWING

 

架空の都市「レトロフエゴ公国」で開かれる博覧会を舞台に、怪盗になったYMCKと、2ndアルバム『ファミリーレーシング』にも登場した宿敵「スウィンガーズ」が繰り広げる怪盗劇が、まるでミュージカルのように曲順に沿って進んで行く、という作品です。

すごく良かった。4thアルバム『ファミリージェネシス』あたりまでの、中でも『カモン! スウィングオールスターズ』や『Major Swing』といったスウィング感の強い楽曲が好きな自分としては「こんなYMCKを待っていた!」と拍手を送りたくなる作品。

30秒あまりのインストナンバー『レトロフエゴ公国国歌』を駆け抜けて、いよいよ聴こえてくるMidoriの第一声

あぁこの世に散らばる

キラキラと輝く宝石

その全てが欲しいの

ひとつとて残さず 

 という不敵っぷりにいきなり心を奪われてしまう。まさに「怪盗YMCKはとんでもないものを盗んでいきました」ってもんです。最高。

永遠なんて知らない

リリカルネッサンス の『The Cut』(Base Ball Bear『The Cut -feat. RHYMESTER-』のカバー)がとても良い。

何が良いって、選曲が素晴らしい。現代人に対する憤りをぶちまけたエッジの効いた歌詞を、まさしく現代人である彼女たちに歌わせることで力強い所信表明として機能させている。『17才』といい、『Funny Bunny』といい、ちゃんと意義があるカバーだと思う。Mummy-D宇多丸のラップパートをlyrical schoolメンバー5人で分担してる分、どうしてもフロウの心地良さは損なわれてしまうのだけど、それを補って余りある瑞々しさ。リリスクmeiちゃんが昔あれした女の子に似ててドキドキする。

リリカルネッサンスは2月11日に行われる一夜限りのコラボライブをもって散開とのこと。活動終了を「散開」と表現したのはYMO以来じゃなかろうか。他にあるのかな。野猿は撤収、LUNA SEAは終幕、仙台貨物は倒産だったね。

 

アイドルの話題をもうひとつ。1月末にMVが公開されたRYUTistの『BLUE』(2ndアルバム『日本海夕日ライン』収録)。

もともとアップされてたライブ動画に、申し訳程度に海の映像をくっつけて音源をそっくり被せるという驚きのクオリティ。「なんかアルバムの中でも人気あるっぽいから急造MVでもこさえるか」感が満載。まぁ良いんだけど、それにしちゃ公開が遅すぎね?っていう。アルバムリリースされたの半年前だぞ。プロモーション下手かよ!と思わず突っ込みたくなる。ある意味インディーズらしくて微笑ましくはあるけどね。

まぁなんだかんだで曲自体は素晴らしい。どことなく10年ぐらい前のロケットマンを思い出すのは俺だけだろうか。だろうな。

Under the PINK

1月は土岐麻子とThe Molochsの新譜をよく聴いていた。

PINK

PINK

 
America's Velvet Glory

America's Velvet Glory

 


特に土岐麻子『PINK』は良かった。ピンクって、カタカナだとポップな印象なのにPINKとアルファベットになると途端にソリッドなイメージになるのは自分だけだろうか。

ほとんどの作曲とアレンジを手掛けたTomi Yoは、最近の槇原敬之の作品にもよく参加していて名前を見かける機会は多かったんだけど、個人的にあんまりピンとくる仕事はなかった。それが今作はどうだ。アレンジもミックスもズバズバと胸を揺さぶる。ジャズの人であり、バンド=生音を主戦場としてきた彼女を、ここまで振り切ったデジタルサウンドで完璧にプロデュースするとは恐れ入った。表題曲『PINK』の2:24以降の転調とか最高すね。

殊更に「シティポップ」というワードで語られる今作は、その点においてもシュガーベイブ吉田美奈子山下達郎あたりの音楽スタイルだけを模倣したような近年のシティポップチルドレンとは一線を画す。ある意味で軽薄というか、土岐麻子の主観が曲想を邪魔しない。これは正しく、ちっぽけな街に生まれ、人混みの中を生きる人々の音楽だと思う。改めてシティポップとはスタイルではなくアティテュードだと思い知らされる。

ところで、土↑岐↓さんって自分の中では「ポップス寄りのジャズボーカリスト」という認識だったんだけど、いつの間に「クイーン・オブ・シティポップ」になったんだろうか。その称号は大貫妙子のものじゃないのか。顔か。顔なのか。じゃあ仕方ねぇな。そういや何年か前に出たター坊のトリビュートアルバムでは『都会』をカバーしてたね。風俗嬢とその客を歌った『PINK』の歌詞は『都会』をベースにしてるのかしら、と思うところもチラホラある。ただ、あのアルバムでは岡村靖幸の『都会』のほうが断然好きだな。

値打ちもない華やかさに包まれて

夜明けまで付き合うと言うの

その日暮らしはやめて

家へ帰ろう 一緒に

この歌詞が岡村ちゃんにピンズドすぎて、なんだか泣けてきちゃったんだよ。

あと、10年近く前に「MUSIC FAIR」で大貫妙子矢野顕子槇原敬之が共演した『海と少年』はすごく印象に残ってる。

最強。このとき初めて動く矢野顕子を目撃して衝撃を受けたなぁ。

大貫妙子一十三十一による『いつも通り』も良かった。一十三十一、当時は媚薬系歌姫なんて呼ばれてたっけ。俺もライブ観に行って可愛らしさにドキュンと胸騒ぎしたもんです。まさか本当に電光石火のベイビーを産んでしまうとは思わなかった。

悲しみに似た薄紅色

グルメブロガーはモテると聞いたので今日からここはグルメブログです。どうぞよろしく。記念すべき第一回目は、静岡県静岡市清水区由比の桜えび料理店・くらさわや。北海道HTBの『おにぎりあたためますか』で大泉洋がこの店のかき揚げを絶賛しており、2011年に放映された『水曜どうでしょう』原付企画においてもどうでしょう軍団が訪れている。『美味しんぼ』にも登場しているらしい。

そんなわけで行ってきた。東海道五十三次の宿場としても知られ、旧街道は今もその趣を残している由比。まぁ趣は良いんだけどよ。くらさわやに続く道が狭いのなんのって。完全に地元民の生活道路。マジでこの先に有名店があるの?ってレベル。辺りも暗くなり、対向車とすれ違えないような細い路地を、神経をすり減らしながらナビを信じて進むこと10分ほど。ようやく到着。以下に渾身のレビューを記す。我ながらめちゃくちゃ参考になるレビューだと思う。いいか。いくぞ。

 

臨時休業があるので出発前にその日の営業を確認しておくべき。

以上。

 

さわやかでハンバーグ食って帰った。

ヴァレンシュタインは三十年戦争の隊長なのさ

寒波吹き荒れる中いかがお過ごしですか。俺は相変わらずいかがわしく過ごしております。なぜか世界史の参考書を買ってきて読み耽り、アナーニ事件とかヌメリアヌスという語句に思わずアンダーラインを引いてしまう今日この頃。

Facebookがつまらない」と知り合いに愚痴をこぼしたら、「それは貴様がプロフィールをデタラメに設定してる所為だ」という有り難いアドバイスを頂戴したので八つ裂きにして駿河湾に沈めた。何にも分かっちゃいない。まっこと。名前や住所に何の意味がある。生まれた所や皮膚や目の色で、一体この俺の何が分かる。健やかなる時も、病める時も、喜びの時も、悲しみの時も、富める時も、貧しい時も、いついかなる時も、俺は俺だ。もっと言えば俺という概念の存在だ。存在の証明に名前は要らぬ。何故なら名前など無くとも存在は成立するからだ。意味が分からない?安心しろ。俺もよく分かっていない。

どうでもいい。「いいね!」なんて要るかボケカスロマック。俺が欲しいのはもっとこう、黒くて硬い、チで始まってコで終わる固形物だ。2月中旬くらいにそれが欲しい。それを貰うためならば俺は喜んで名前や住所を晒そう。そして二人でインカ帝国(首都クスコ)初代皇帝マンコ・カパックについて理解を深めよう。それとも君はデモクリトス派かな?(?_?)

2016年のアルバム9枚

あんまり深く吟味とかせずに、「これよく聴いたな」ってのを9枚ピックアップ。

 

Ed Greene『Greene Machine』

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Ed Motta『Perpetual Gateways』

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Norah Jones『Day Breaks』

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Pet Shop Boys『Super』

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Soulvibe『Bersinar』

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Sung Huh『To Be Sung』

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アイドルネッサンス『アワー・ソングス』

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TAMTAM『NEWPOESY』

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蓮沼執太『メロディーズ』

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ブラジルのAORインドネシアのファンク、韓国のジャズ……2015年末にapple musicを導入したことで世界中の音楽にタイムレスにアクセスできるようになって、まさに蓮沼執太のアルバムジャケット状態の今日この頃。高校を卒業した春休み、初めてTSUTAYAの暖簾をくぐって物量に圧倒された日のことを思い出す。こんなに抜けねぇよ!っていう嬉しい悲鳴。ちなみに2016年で一番お世話になったAVは『友達JK 教え合いっこオナニー1』だったんですけど、残念ながら2013年の作品とのこと。どうでもいい。

某ブログの「ネットの音楽オタクが選んだ2016年のベストアルバム150」にランクインしてるのはNorah Jones(121位)、TAMTAM(95位)、蓮沼執太(22位)の3作品かな。そんなもんか。1位の宇多田ヒカルはぶっちぎりだったらしいね。まぁ納得。『Fantôme』聴いてないけど。それにしても、サブスクリプションサービスが市民権を得た年のベストアルバムが、サブスクリプションサービスに流通していない作品というのも興味深い。

楽曲単位では、Ed Greene『Green Light』、Soulvibe『Tak Bisa Menunggu』、℃-ute『人生はSTEP!』、こぶしファクトリー『チョット愚直に! 猪突猛進』、女王蜂『金星』、METAFIVE『Don't Move』あたりが特に印象に残ってる。