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2016年のアルバム9枚

あんまり深く吟味とかせずに、「これよく聴いたな」ってのを9枚ピックアップ。

 

Ed Greene『Greene Machine』

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Ed Motta『Perpetual Gateways』

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Norah Jones『Day Breaks』

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Pet Shop Boys『Super』

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Soulvibe『Bersinar』

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Sung Huh『To Be Sung』

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アイドルネッサンス『アワー・ソングス』

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TAMTAM『NEWPOESY』

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蓮沼執太『メロディーズ』

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ブラジルのAORインドネシアのファンク、韓国のジャズ……2015年末にapple musicを導入したことで世界中の音楽にタイムレスにアクセスできるようになって、まさに蓮沼執太のアルバムジャケット状態の今日この頃。高校を卒業した春休み、初めてTSUTAYAの暖簾をくぐって物量に圧倒された日のことを思い出す。こんなに抜けねぇよ!っていう嬉しい悲鳴。ちなみに2016年で一番お世話になったAVは『友達JK 教え合いっこオナニー1』だったんですけど、残念ながら2013年の作品とのこと。どうでもいい。

某ブログの「ネットの音楽オタクが選んだ2016年のベストアルバム150」にランクインしてるのはNorah Jones(121位)、TAMTAM(95位)、蓮沼執太(22位)の3作品かな。そんなもんか。1位の宇多田ヒカルはぶっちぎりだったらしいね。まぁ納得。『Fantôme』聴いてないけど。それにしても、サブスクリプションサービスが市民権を得た年のベストアルバムが、サブスクリプションサービスに流通していない作品というのも興味深い。

楽曲単位では、Ed Greene『Green Light』、Soulvibe『Tak Bisa Menunggu』、℃-ute『人生はSTEP!』、こぶしファクトリー『チョット愚直に! 猪突猛進』、女王蜂『金星』、METAFIVE『Don't Move』あたりが特に印象に残ってる。

パンクロッカーの憂鬱

年始。元日から車のタイヤがパンクしたので己のカルマを呪いながらスペアタイヤに交換して閉店間際のオートバックスに駆け込んだら「本日のピット作業は終了しました」と言われて俺の頭がパンクするかと思った。あけおめ~。

仕方ないので俺自身の足回りを固めようとスニーカーを二足購入。

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CAMPERのIMARシリーズ、コパ・デル・レイ記念モデル。同型のハイカットのやつを履き潰したので買い替え。これまで街中で一度も見たことない。日本でこれ履いてんの俺だけじゃねぇの。いやマジで。

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スピングルムーヴ。カープとのコラボモデルとも迷ったけど、去年スニーカープ買ったし、てことでシンプルなやつにした。履き心地めちゃくちゃ良い。

あと、ずっと買おうと思ってた珪藻土マットも購入した。ビショビショのバスマットの不快感と、洗って干して何枚もローテーションする煩わしさ、その両方から解放されたので満足。

足元がバッチリ固まったところで、ようやく今日、もっぺんオートバックスに行ったら「こちらのタイヤは取り寄せになりますね」だってよ。取り寄せ。酉年だけに。ことよろ~。

 

さてさて。ベストアルバム2016は、夏頃に知り合いの家で聴いた女性ボーカルのやつです。誰だか聞いたけど忘れた。そもそも2016年にリリースされた作品なのかも分からない。そういう刹那的な聴き方というのも良いんじゃないすかね。一期一会って感じで。ダメですかね。

なんていうか、作品を評するのに、作者の経歴だとか制作に関する苦悩や葛藤を踏まえて、歌詞の一言一言を紐解いて、インタビューを読み漁って、思想や主張を汲み取って、自分なりの解釈を導き出して、みたいな聴き方って、そりゃあ文化的で尊い行為だと思うけど、ぶっちゃけ面倒くさいじゃん?それとも面倒くさいと思わないのがマニアなんすかね。国語の試験じゃねぇんだから、もっといい加減に聴かせてよ、ていう思いが最近は強い。2017年も適当に聴く。俺として俺は行く。俺ら問題ないんだろうな。

Melody never say good bye

10代の頃、千葉のロケ地まで静岡から自転車で行ったことがある程度の原作ファンなのでこれは楽しみ。むせ返るような夏の匂い、何年経っても思い出してしまうな。50分に満たない短編作品をどのように引き伸ばすのか不安もあるけど、そこさえ丁寧に再構築してくれれば傑作になり得ると思う。「ヴェルディvsマリノス」、「『スラムダンク』の最新刊」、「観月ありさ」、「セーラームーン」といったワードは何に置き換わるんだろう。

音楽は神前暁が担当とのこと。ガチで売りに来てる感。REMESIOSも 『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』のサントラが良かったし期待したんだけど、まぁ神前暁に文句があるはずもなく。主題歌はRADWIMPS『前前前世』やback number『ハッピーエンド』に倣って、やっぱり若者に人気のバンドが起用されるのかな。SHISHAMOとかありそうだ。ここはあえてフジファブリック若者のすべて』を、というのは安直すぎるかしら。ないかな。ないよな。


キタノブルーにも引けを取らないイワイブルー。もはや奥菜恵のイメージビデオ。押尾学とのニャンニャン写真が流出したときはそりゃあガッカリしたものだった。下からアレしたり、横からアレしたり、打ち上げまくったんだろうな。まぶた閉じて浮かべているよ。

 

若者のすべて』で思い出した。『若妻の疼き』。正直、本編は全然抜けない。ドラマ部分の健気な大根演技と、本編終了後の3分足らずのインタビューを楽しむ作品。特にインタビューは秀逸。誕生日とかスリーサイズといった「設定」をひととおり言い終えてからのガチ自己紹介に萌える。好きな食べ物。子供の頃になりたかった職業。そして「漫画が好きで、『グラップラー刃牙』とか『ゴルゴ13』をよく読んでます」という予想外のキラーワード。最高に抜ける。彼女にはぜひ『1・2の三四郎』も読んでいただきたい。もう読んでるか。インタビューの〆の言葉が「コンビニ最高だなって思います」というのも空前絶後で素敵だ。

プレイバックをプレイバック

前回のエントリに登場した山口百恵のラストコンサート『伝説から神話へ』は、中学生当時、CDレンタルしてMDにダビングするに飽き足らずDVDも購入するほどハマっていた。DVDは諸々の事情で『謝肉祭』がカットされてるんだよね。

伝説から神話へ 日本武道館さよならコンサート・ライブ [Blu-ray]
 

和やかなMC(オチも見事)から『プレイバックPart2』に入るときの豹変っぷりは今でも鳥肌モノだし、そこから阿木燿子&宇崎竜童の楽曲を連発する構成も良い。ていうか『プレイバックPart2』、改めて楽曲のクオリティがえげつないな。車をぶつけてきた相手に「プレイバック(もっぺん言ってみろ)」と怒鳴った途端、ブレイクを挟んで曲展開そのものをプレイバック(巻き戻し)しつつ、同じ言葉を言い放った昨夜へと場面をプレイバック(回想)させる手際の良さ。これだけでも素晴らしいのに、そこから前年の大ヒット曲『勝手にしやがれ』(沢田研二)における出ていった女性側の物語を見事に描いてしまう離れ業。サビでキッチリ「勝手にしやがれ」と歌わせて、元曲の「戻る気になりゃいつでもおいでよ」という歌詞に寄り添うように「あなたのもとへプレイバック」で〆。完璧すぎる。

百恵ちゃんってスタ誕で阿久悠に「あなたは青春ドラマの妹役なら良いけれど歌手は諦めた方が良い」と評されたんだよね。それが因果かは分からないけどデビューしてからも阿久悠とは縁がなかった。そんな百恵ちゃんに『勝手にしやがれ』(もちろん作詞は阿久悠)への返歌をあてがう阿木耀子の豪胆っぷり。シビれるぜ。

ちなみに1978年の紅白歌合戦は、紅組トリが百恵ちゃん『プレイバックPart2』で、白組トリがジュリー『LOVE (抱きしめたい)』だったりする。まぁ『LOVE (抱きしめたい)』も阿久悠ではあるんだけど、当時のNHKにもうちょっと気の利く人間はいなかったのかと。

どうでもいいけど、「朝までふざけよう ワンマンショーで」って、たぶん下ネタだよな。違うかな。俺の本日のワンマンショーは昼と夜の二部構成でした。勝手にしろって話ですね。

私的90年代フェイバリット

ネットの音楽オタクたちの間で90年代のフェイバリットアルバムを公開するのが流行っていて、普段こういう企画には乗らない性質なんだけど、なんとなく気が向いたので選んでみようかと。

で、せっかくなら後追いで2000年以降に聴いた作品は除外しよう、俺自身が本当に1990-1999年の間に聴いていた作品を選ぼう、と思ったわけ。そのほうが当時の空気感とか等身大の俺みたいなもんがガツンと高純度で出そうじゃんか。つーことで記憶を手繰って、印象に残ってる作品を3枚ほど選んでみたんだけどよ。

 

山口百恵『伝説から神話へ -BUDOKAN…AT LAST-』

YMO『SOLID STATE SURVIVOR』

オフコース『ツインベスト』

 

あれ?っていう。

よくよく考えてみたら、荒井由実矢野顕子かぐや姫矢沢永吉鈴木雅之井上陽水、安全地帯、ゴダイゴ吉田拓郎坂本龍一山下達郎……その辺の70-80年代の旧譜を後追いしてたのが俺にとっての90年代だった。

2003年くらいまでロックバンドを毛嫌いしてたのでヴィジュアル系ロキノン勢はもちろん、B'zミスチルスピッツサザンと言ったメガヒットバンドもスルーしてた。小室ファミリーより坂本ファミリーだったし、モー娘。はアイドルとして認めずに百恵ちゃん聖子ちゃん明菜ちゃん(せいぜいWinkまで)を崇めてた。宇多田ヒカル椎名林檎も当時はよく分かんなかったな。とにかく「流行りもんなんてロクなもんじゃねぇ!」っていう老害みたいなガキだった。

リアルタイムで聴いてた90年代の作品って、エキセントリック少年ボウイオールスターズ『ダウンタウンのごっつえぇ感じ音楽全集』、山下達郎『COZY』、槇原敬之『 Such a Lovely Place』『Listen To The Music』『Cicada』くらいしか思い浮かばないな。そもそも達郎と槇原にハマったから前述の70-80年代に先祖返りしたっていう順序なんだけどね。

COZY

COZY

 

てことで私的90年代フェイバリット・ワンはこれ。初めて自分の小遣いで買ったアルバム(ちなみに初めて買ったシングルは大滝詠一『幸せな結末』なのだ!どうだ羨ましいだろう!)。当時の自分にこの作品の良さが理解できていたとは到底思えないのだけど、背伸びしてる感じがしてドキドキしたのは覚えてる。達郎の『ドーナツ・ソング』とマッキー『君は僕の宝物』のせいで、「女の子とドーナツ屋に行く」という行為にめちゃくちゃ憧れたなぁ。そうそう、『氷のマニキュア』がKinKi Kidsの『kissから始まるミステリー』に似ている!ということに気が付いて、いわゆる作家性みたいなものを意識し始めたのもこの頃だった。

このアルバムを引っ提げて行われたコンサートツアーPerformance 1998-1999のブートレグも最高。色んなコンサートからテイクを寄せ集めた『JOY』よりも熱量がダイレクトに伝わってくる気がするな。

ありとあらゆるライブ音源の中でもトップクラス。東京オリンピックの開会式で達郎がカッティングギター鳴らしながら出てきたら号泣しながらうんこ漏らす自信ある。

めくるめく僕らの

新垣結衣って最近は全然見ないけど、歌手やめちゃったのかな。1stアルバム『そら』は名盤だと思うよ。音程は不安定だし声量も心許ない。でも、そこが、そこが、良いんじゃなーい(『スチャダラパーのテーマ』より)。いやホント、『Heavenly Days』一曲だけでもお釣りが来るレベルだと思うの。

そら(DVD付)

そら(DVD付)

 

メレンゲがセルフカバーしたバージョンも大好きなんだけど、素人のカラオケだと思われたのか、Youtubeの非公式動画に「キーどのくらいですか?」ってコメント付いてるのが切ない。

 

先日、女子力を高めるために足裏の角質ケアをしてみた。

フットピーリングパック ペロリン ローズ2回分
 

液体の入ったビニール製の足袋を履いて90分。数日後にはピーリング効果により足裏の皮がポロポロめくれて古い角質とオサラバという代物。正直、やる前は半信半疑だったんすよ。ゴシゴシ擦るわけでもなく、ただ液体に浸すだけで数日後に皮がめくれるなんて、そんなこと有り得ねーだろって。

舐めてましたスンマセン。あの液体なんなんマジで。絶対ヤバイもん入ってんだろ。脱法的な。怖い。ペロリン怖い。俺は地元のドラッグ売人から末端価格1500円(2回分)で買ったけど、ネットでも買えるらしい。恐ろしい世の中。

ってことで皮めくれまくり。めくるめく皮。ズルムケ。ペロリンでズルムケ。たまんねぇな、おい。ひとつ上の男、爆誕。嬉しくて職場の女の子に見せまくってるもんな。どうだい、俺のここ、ズルムケだろう?

 

こうして新たな確執が生まれた。

 

Singer Song Tiger

KANの『TIGERSONGWRITER』を紹介するよ。

TIGERSONGWRITER

TIGERSONGWRITER

 

1. Songwriter

流麗なピアノアルペジオの旋律が美しいKANのキャリア屈指の名曲。『Summer, Highland Falls』(ビリー・ジョエル)に強い影響を受けて作った曲として、『秋、多摩川にて』『小羊』『小さき花のテレジア』と並んで「多摩川サウンド」と自ら総称している。バラエティに富んだKANの音楽の中でも核となる音楽性と言っても良いんじゃないかな。なんでも出来る器用な人だけど、基本はピアノの人だからね。

「多摩川サウンド」の4曲は歌詞の傾向も似ていて、いずれも人生観や表現者としての決意といった内省的なものが歌われている。『Songwriter』のクライマックスにおける

I'm a songwriter ピアノを叩き

繰り返す表現のみが 唯一存在の意義です

というフレーズは特に象徴的。彼の音楽家としての矜持を感じずにいられない。歌い出しが完全に『The Entertainer』(ビリー・ジョエル)で思わずニヤリ。

 

2. 長ぐつ

飾らない言葉とシンプルな演奏でさらりと歌う2分半ほどの短いラブソング。うっかり聞き流してしまいそうな地味な楽曲だけど、個人的にはKANの魅力が詰まった一曲だと思う。丁寧なコーラスワークも良い。メレンゲのクボケンジもライブでカバーしたらしいね。なんだろう、めちゃくちゃしっくりくる。

ちなみに、クラシックピアノを勉強し直すためにフランスの音楽学校に留学した際、自己紹介がわりにクラスメイトに披露したのがこの曲だったとか。


3. サンクト・ペテルブルグ~ダジャレ男の悲しきひとり旅~

失恋してパリに傷心旅行に行く曲。コミックソングのようなタイトルで、まぁ実際に歌詞はダジャレだらけなんだけど、それがまた主人公の悲哀を効果的に浮き彫りにしてくる。この泣きながら笑ってる感じ、堪らなく愛おしいな。曲自体はサウンドもコーラスもメロディもポール・マッカトニー風。めちゃくちゃクオリティ高いと思う。

そもそも、ビリー・ジョエルスティービー・ワンダーポール・マッカートニーといったミュージシャンたちを元ネタとして楽曲を生み出していく彼の音楽スタイルそのものが極めてダジャレ的なんだよね。単なる模倣に終わらず、これまたKANのオリジナリティを効果的に浮き彫りにするという構造。


4. SAIGON

というわけで次の曲はマイケル・ジャクソン。モロに『Heal the World』な演奏時間8分近くあるスケールの大きいナンバー。全英詞で、歌い方まできっちり似せてくるあたりが潔い。

KANのマイケル・ジャクソン曲では『甘海老』(アルバム『弱い男の固い意志』収録)が一番好きだなぁ。アウトロの完全なりきりフェイクからの『その目はやめろよ』が切なすぎる。


5. Oxanne-愛しのオクサーヌ-

このアルバムで唯一、盟友・小林信吾がアレンジに関わっていない楽曲。『She Loves You』の頃のビートルズのような軽快な8ビートで、意識的にライブで演奏することを念頭に置いて作られたと思われる。ミスチル桜井和寿もコーラス&ギターで参加してるけど、うーん、なんとも贅沢な使い方というか無駄遣いというか。仲が良いのは伝わってくる。

ちなみにタイトルはポリスの『Roxanne-愛しのロクサーヌ-』のパロディ。その名の通り人妻への軽薄な求愛が朗々と歌われる。1998年というと桜井和寿ギリギリガールズ吉野美佳とズブズブの不倫関係にあった時期のはずなんだけど、よくこんな曲に参加したな。

 

6. 月海

歌詞の暗さにおいて『情緒』と双璧をなす絶望ソング。 冒頭で

すべては運命だと割り切ってみるにはまだ若すぎる

と歌ったかと思えば、2番では

すべては永遠だと信じられるほどの若さはもうない

と打ちひしがれる。割り切ることも信じることも出来ず、月が揺れる海をただ眺めている、という超シリアスな歌詞。さっきまで「奥さ~ん」連呼してたし、この次は「ドラドラ」連呼する歌だぞ。躁鬱病か。


7. ドラ・ドラ・ドライブ大作戦-トラ・トラ・トラどし大先輩-

バンジョーが軽快に鳴り響くカントリー調のコミカルな一曲。随所に挿入される合いの手はファン以外の人が聴いたら引いてしまいそうな内輪向けネタなんだけど、何が恐ろしいって、この曲、『MAN』『涙の夕焼け』『Songwriter』に続く23thシングルだったりする。怖いものなしかよ。

コミカルすぎる。以前見た別テイクでは、KAN自らスティールパンドラムを演奏しているかと思いきや実は焼きそばを作っていた、というフリーダムっぷり。


8. Song of Love-君こそ我が行くべき人生-(英語版)

そしてまた真面目になる。(英語版)とあるけど日本語版は存在せず、本人曰く

最初に英語が浮かんで、日本語の歌詞が書けないまま「もういいや、これで出しちゃおう」と思って「英語版」って言って出したんですよ。

とのこと。『長ぐつ』を英語詞にしたような、平易な言葉で愛を伝える素直なラブソング。メロディと譜割りが気持ち良い。この人の多少ケレン味のある歌声は英語に向いてる気がするな。

終盤に『Silly Love Songs』(ウィングス)~『MY LIFE』(ビリー・ジョエル)~『You are the sunshine of my life』(スティービー・ワンダー)~『geogia on my mind』(レイ・チャールズ)の一節を繋げて歌うというド直球なオマージュも。


9. 君を待つ

KAN版『春よ、来い』といった趣のバラードで〆。後の『世界で一番好きな人』にも通じるような、ひねりのないスタンダードナンバー。普通はこれをシングルに持ってくるよなぁ。まぁ普通じゃないからこそ自分を含めてファンから長く愛されてるんだろうけど。

 

全9曲。シリアスとコミカルが渾然一体となったカフェオレのようなアルバム。どの曲も「こういう曲を作ろう」という明確な意志が感じられ、KANの音楽職人的な側面が窺い知れる。そう、極めて職人的なのだ。楽曲制作に関して「アイデアが閃いた」とか「メロディが降りてきた」といった発言をするアーティストもいるけど、彼は「ピアノの前に座ってウンウン唸りながら作る」タイプだね。山下達郎と同じ。

三枚目なキャラクターのイメージが強くて、ふざけた曲も多いけど、いざというときには悩んでいる背中を3000円でそっと押してくれる。泣いたり笑ったり、ある意味すごくリアルな存在感。「ピアノを叩き繰り返す表現のみが唯一存在の意義」とまで言い切るソングライターの面目躍如のアルバムだと思う。名盤。